2007東海CS 決勝戦
2008年9月2日 東海CS2007決勝戦
LACK(爆風ライザー) vs ヴァニラ(帝)
いよいよ東海チャンピオンシップ2007決勝戦。
伝統ある大会のフィナーレを彩る今回のデュエリストは、東海組smart支部(笑)のイケメンデュエリストLACKと、BREAKER’Sのハンカチ王子的存在(笑)ヴァニラ。
LACKは2年連続選考会に出場しているものの、大きな大会での決勝は初めて。「対帝を意識して作った」というデッキは、彼のプレイングにぴったり合うようチューンナップされている。《鳳翼の爆風/Phoenix Wing Wind Blast》と《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》で相手を足止めしつつ攻撃を通していくコンセプトは今大会注目の戦術だ。スイスラウンドでは去年・一昨年と東海チャンピオンシップ2連覇を果たしていたショウイチを下し、波にのった決勝進出となった。
対するヴァニラのこれまでの公式戦などの成績を聞くと、意外にも「特にないです」という答えが返ってきた。今大会も前日に出場する事を決心したのだという。過去選考会出場経験は一度だけで、その時は個性的なデッキビルダーとして有名なマロに圧敗したらしい。後のインタビューでは、前日の仲間内の調整で総当たり戦をやった際に全勝した事が今大会出場を決める、大きなきっかけとなったと語っている。彼の使用する帝は一見オーソドックスな構築に見えるが、《神の宣告/Solemn Judgment》を3枚採用や《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》を採用しているあたり、どちらかと言えば海外で好まれそうな構築をしていると言えるかも知れない。
1戦目
第1戦目がスタートしようとしている。東海チャンピオンシップの決勝は3本先取という事で、非常に長い戦いになる。何本先取なのかは、実は当日の会場の残り借り時間により変動している裏設定もあるという噂があるが、それはさておき。お互いここで向き合った感想を聞いたところ、LACKは落ち着いていたようで、3回戦でショウイチを倒したときから緊張はなくなり、冷静に決勝卓に座る事ができたと語っている。ヴァニラは決勝へ行けた喜びと、ジャンケンへの意気込みで少し興奮していたようだ。
ジャンケンの結果、先攻はLACK。まずはドロー。そして守備モンスターをセットし、1枚カードを伏せる。遊戯王では最もありふれた先攻第1ターンのアクションと言えるだろう。ターンをヴァニラへ渡す。ヴァニラのターン。静かにドローフェイズを終え、スタンバイフェイズの確認も怠らない。ヴァニラのファーストアクションは《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》を特殊召喚。そのまま《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》でLACKの守備モンスターを攻撃するヴァニラ。守備モンスターは《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》。《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》は《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》の攻撃により撃破したものの、そのリバース効果によりデッキから2枚目の《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》が特殊召喚される。ヴァニラはメインフェイズ2で《光の護封剣/Swords of Revealing Light》を発動。ターンを返す。一方、手札が悪いのか、何もせずターンを終了するLACK。ヴァニラはリバース効果により特殊召喚された《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》に攻撃をしかけるだけでターンを終了。一気に攻める事は勝ちに繋がる事も少なくは無いが、余計な動きをしない事は現在のアドバンテージをキープする最も有効なプレイと言えるだろう。手堅く、そして淡々とゲームを進めるヴァニラ。単に攻撃モンスターがいなかっただけかも知れないが、これは安定プレイだ。返しでLACKは《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》を特殊召喚し、ヴァニラの《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》と融合。《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》を特殊召喚する。今大会、ダントツで採用枚数が多いカードである《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》。いかに強力なカードであるかは、すでに証明されている。しかし、《光の護封剣/Swords of Revealing Light》の効果で攻撃が出来ないLACKは、そのままターンを終了する。ヴァニラのターンではひとまず守備モンスターをセットしターンエンド。これを《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》で破壊するLACK。しかし相変わらず攻撃は出来ない。《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》は想定済みと言った感じでさらに守備モンスターをセットするヴァニラだったが、次のターン、LACKの2枚目の《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》が刺さる。除外されたのは《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》。これは、ヴァニラにとっては大きな損失となった。《光の護封剣/Swords of Revealing Light》が消えた後、まだ場にいる《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》で攻撃を開始するLACK。《マシュマロン/Marshmallon》などで何とか持ちこたえるヴァニラだったが、LACKの《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》でのいじめが始まる。LACKは《貪欲な壺/Pot of Avarice》発動などで勢いがつく。なんとか反撃のチャンスをつかみたいヴァニラは、《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》を《神の宣告/Solemn Judgment》で打ち消し、逆に自分の《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》で反撃を試みるが、召喚時に《激流葬/Torrential Tribute》を発動され、これは失敗に終わる。LACKが《リビングデッドの呼び声/Call of the Haunted》を使用した所でヴァニラは投了を宣言する。
2戦目
ヴァニラの先攻で2戦目が始まる。淡々とプレイするヴァニラの姿は、そのプレイングの安定さを物語っているような雰囲気をかもしだしている。ひとまず、モンスターセットでターン終了のヴァニラ。帝デッキを使っている場合はよくある光景だ。このプレイは、モンスター主体の帝デッキの場合はまずまずのファーストアクションと言えるだろう。帝デッキの場合はモンスターセット無しで伏せカード1枚セットでターンエンド、などという状況の方が好ましくない。とはいえ、無理にモンスターをセットという事は考え難いので、このセットモンスターはなんらかのリバースモンスターか、そうそう破壊されないモンスターだという予想はつく。そういう事を肌で感じていた、と言うよりは単にアタッカーが居なかったのか、LACKは守備でモンスターをセットし1枚カードを伏せターンエンド。ヴァニラのターン。セットされていた《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を反転召喚。リバース効果により、2体目の《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を特殊召喚。そこから《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》に繋げる。モンスターをデッキの一番上に戻すヴァニラ。《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》でのスーパービートが始まる。返しのLACKは守備モンスターで凌ぐ作戦だったが、2枚目の《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》の召喚により、伏せカードをデッキに戻され、モンスターは《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》で除去される始末。LACKの戦況はかなり好ましくない。その後はLACKも《光の護封剣/Swords of Revealing Light》で守りつつ《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》を召喚するなど反撃を試みるが、ヴァニラの《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》と《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》が結局止まらなく、頼みのトラップは《王宮のお触れ/Royal Decree》で妨害され、わりとあっさりLACKが2戦目を落とす結果となった。
3戦目
再びLACK先攻。守備モンスターをセットし、カードを1枚伏せる。そしてターンエンド。遊戯王のカードゲームができて以来、一体何百万、何千万回同じアクションが世界で行われてきただろうか。返しのヴァニラは手札が悪いのか、伏せカードを1枚だけセットしターンエンド。再びLACKのターン。モンスターを反転召喚。反転したモンスターは《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》。カードを1枚引き、そのまま攻撃に入るLACK。バトルフェイズ終了後、守備モンスターと伏せカードを一枚追加。順調な滑り出しだ。ヴァニラのターン。《光の護封剣/Swords of Revealing Light》を発動。守備モンスターをセットし、ターンエンド。ここは守りを固めるヴァニラ。なんとか攻撃したいLACKだったが、《光の護封剣/Swords of Revealing Light》がどうにもならず、ここは《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》を守備表示に変更しターンエンド。ヴァニラのターンになり、守備モンスターを反転。お約束の《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》。《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》に攻撃を仕掛け、これを撃破。静かにアドバンテージをつめていく。返しのLACKは《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》を召喚するが、これはヴァニラの《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》によりゲームから除外される。アドバンテージ差は詰めるが、再びアドバンテージの差が開く事はそうそう許さないヴァニラ。《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を守備表示に変更し、ターンを終了する。LACKのターンになるが、ここは何も出来ずにターンエンド。ヴァニラのターン。ここで場は動く。手札から《大嵐/Heavy Storm》を発動するヴァニラ。LACKの伏せカード、《月の書/Book of Moon》と《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》が破壊され、またもアドバンテージを詰める。《クリッター/Sangan》を召喚し、LACKのモンスターに攻撃を仕掛ける。LACKの守備モンスター、《クリッター/Sangan》が破壊され、そこから《スナイプストーカー/Snipe Hunter》を持ってくるLACK。ヴァニラはカードを1枚伏せ、ターンを終了する。劣勢となったLACKは、カードを1枚伏せた後、《スナイプストーカー/Snipe Hunter》の効果を起動。しかし、ここはスナイプの神様はLACKに微笑まなかった。《クリッター/Sangan》に攻撃を仕掛ける。《クリッター/Sangan》からは《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》を引っ張るヴァニラ。それを確認し、再びスナイプストーカー/Snipe Hunter》の効果を使用するLACKだったが、2度目の効果起動も失敗。3度目の正直でようやく成功し、《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を破壊する。《地割れ/Fissure》で残りの《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》も破壊し、《貪欲な壺/Pot of Avarice》を使用するLACKだが、《スナイプストーカー/Snipe Hunter》の効果失敗がひびき、状況は苦しい。ヴァニラの《地割れ/Fissure》で《スナイプストーカー/Snipe Hunter》を破壊され、《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》で攻撃される。その後、《閃光の追放者/Banisher of the Radiance》を召喚しLACKを攻め立てるヴァニラ。《王宮のお触れ/Royal Decree》を2枚同時に伏せ、LACKのトラップを妨害する奇手で完全にデュエルの主導権を握り、《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》でLACKに止めをさした。
4戦目
先にリーチをかけた事から、ゲームの流れ的にはヴァニラに傾いている感は観戦していたプレイヤーも感じた事だろう。《王宮のお触れ/Royal Decree》がよほど堪えたらしく、本来のデッキの回し方がうまく出来なかったとLACKは後に語っている。対するヴァニラは、ここまでの《王宮のお触れ/Royal Decree》のプレイもさる事ながら、実はそれよりもサイドから入れたという《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》と《シールドクラッシュ/Shield Crush》のプレイ所にかなり気を使っていたとコメントを残している。
4戦目は3回目のLACKの先攻からスタート。守備モンスターをセットし、魔法・トラップゾーンに2枚のカード伏せ、ターンを終了する。初ターンに2枚伏せというのはこのマッチでは初だ。そして、ヴァニラのターンのスタンバイフェイズで伏せカード、《死のデッキ破壊ウイルス/Crush Card Virus》を発動するLACK。この効果で大きなアドバンテージを取るまでには至らなかったものの、相手の手札を把握することによってその後の展開は有利に進められる。手札を把握されているヴァニラはうかつには動けない。《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を守備にし、ターンを終了。LACKも相手のモンスターは知っているものの、攻撃に出られない。守備モンスターをセットしターンを終了する。ヴァニラはこれを《シールドクラッシュ/Shield Crush》で破壊。相手のモンスター展開を妨害しつつ、守備モンスターをセットし守りを固める。お互いなかなか攻勢に出ることができない。中盤、《ホルスの黒炎竜 LV6/Horus the Black Flame Dragon LV6》を召喚するヴァニラ。一気に場の制圧にかかる。《ホルスの黒炎竜 LV6/Horus the Black Flame Dragon LV6》の攻撃を《聖なるバリア−ミラーフォース−/Mirror Force》で止めようとするLACKだったが、ヴァニラの《王宮のお触れ/Royal Decree》がここでもLACKを苦しめる。《ホルスの黒炎竜 LV8/Horus the Black Flame Dragon LV8》の召喚に成功するヴァニラ。しかし、ここはLACKの《スナイプストーカー/Snipe Hunter》が《ホルスの黒炎竜 LV8/Horus the Black Flame Dragon LV8》を狙い撃ち、これを破壊。ここまであまり活躍しているとは言えなかったLACKの《スナイプストーカー/Snipe Hunter》が役に立った。さらに《王宮のお触れ/Royal Decree》の破壊にも成功するLACK。流れはLACKに傾く。ヴァニラの《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》も《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》で除去し、《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》で攻撃を仕掛け始める。ヴァニラは2枚目の《王宮のお触れ/Royal Decree》を発動するも、タッチの差でLACKの《鳳翼の爆風/Phoenix Wing Wind Blast》が発動し、手段が尽きたヴァニラは投了を宣言する。
5戦目
東海チャンピオンシップ最終戦。2勝2敗の二人。このデュエルの勝者が東海チャンピオンシップの覇者となる大事な大事な一戦だ。流石に二人の表情にも疲れが見えるが、ここでそんな弱音は通用しない。観戦者が見守る中、最後のインターバルが終了した。
先攻はヴァニラ。注目のファーストアクションは伏せカードを置く事だった。モンスターは出せないらしいヴァニラは、それだけでターン終了。返しのLACKのターン。ここからヴァニラの悲劇が始まる。LACKは《魂を削る死霊/Spirit Reaper》を召喚。そのまま攻撃を仕掛け、ヴァニラの手札を落とす。ヴァニラの伏せカードは《魂を削る死霊/Spirit Reaper》を止めることは出来なかった。1枚カードを伏せてターンを終了するLACK。ヴァニラは《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》を召喚するが、LACKの《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》で《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》は破壊される。返しのターンで更に《魂を削る死霊/Spirit Reaper》で攻撃を仕掛けるLACK。すでに先攻のアドバンテージも無くなったヴァニラは厳しい展開。その返しでヴァニラは待望の守備モンスターをセットするが、LACKの切り札《鳳翼の爆風/Phoenix Wing Wind Blast》により守備モンスターは場からいなくなる。三度《魂を削る死霊/Spirit Reaper》の攻撃を素通しする結果となったヴァニラ。非常に厳しい展開となる。ヴァニラは「決勝戦の最後でこれかよ」と言った感じの表情だった。ここまで淡々とプレイしてきた屈強なデュエリストも流石にこれは堪えたらしい。一方、アドバンテージが取れたLACKは一気にたたみかけたい所だろうか。しかし、その後はヴァニラの守備モンスターが突破できなかったLACK。仕方なく守備モンスターをセットしてターンを返すが、ここはヴァニラの《シールドクラッシュ/Shield Crush》で守備モンスターを破壊される。その後は互いにアタッカーを引かず、しばらく睨み合いが続く。お互いに、その間守備モンスターをセットし守りを固める。先に仕掛けたのはヴァニラ。《氷帝メビウス/Mobius the Frost Monarch》を召喚し攻勢に出るものの、ここはLACKの《マシュマロン/Marshmallon》に阻まれる。《氷帝メビウス/Mobius the Frost Monarch》を《スナイプストーカー/Snipe Hunter》で除去するLACKだったが、その返しでヴァニラは《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》を召喚。《スナイプストーカー/Snipe Hunter》に攻撃し、これを撃破。伏せカードをセットし、ターンを返す。これに対し、LACKは守備モンスターをセットするだけでターンエンド。好機とみたヴァニラは間髪入れず《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》を召喚。LACKのモンスターを除去しつつ攻撃を仕掛ける。《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》の効果によりドローが進まないLACKはまたも守備モンスターをセットし、ターンエンド。勢いに乗ったヴァニラは《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》をプレイ。LACKの守備モンスター《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を除去し、《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》で攻撃を続ける。一方、反撃のチャンスが来ないLACK。相変わらず守備モンスターをセットするだけのアクションを繰り返す。この状況でヴァニラの召喚した《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》はどうにもならない。LACKは苦笑いを浮かべつつ投了を宣言。この瞬間、今東海チャンピオンシップの覇者が決定した。
LACK(爆風ライザー) vs ヴァニラ(帝)
いよいよ東海チャンピオンシップ2007決勝戦。
伝統ある大会のフィナーレを彩る今回のデュエリストは、東海組smart支部(笑)のイケメンデュエリストLACKと、BREAKER’Sのハンカチ王子的存在(笑)ヴァニラ。
LACKは2年連続選考会に出場しているものの、大きな大会での決勝は初めて。「対帝を意識して作った」というデッキは、彼のプレイングにぴったり合うようチューンナップされている。《鳳翼の爆風/Phoenix Wing Wind Blast》と《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》で相手を足止めしつつ攻撃を通していくコンセプトは今大会注目の戦術だ。スイスラウンドでは去年・一昨年と東海チャンピオンシップ2連覇を果たしていたショウイチを下し、波にのった決勝進出となった。
対するヴァニラのこれまでの公式戦などの成績を聞くと、意外にも「特にないです」という答えが返ってきた。今大会も前日に出場する事を決心したのだという。過去選考会出場経験は一度だけで、その時は個性的なデッキビルダーとして有名なマロに圧敗したらしい。後のインタビューでは、前日の仲間内の調整で総当たり戦をやった際に全勝した事が今大会出場を決める、大きなきっかけとなったと語っている。彼の使用する帝は一見オーソドックスな構築に見えるが、《神の宣告/Solemn Judgment》を3枚採用や《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》を採用しているあたり、どちらかと言えば海外で好まれそうな構築をしていると言えるかも知れない。
1戦目
第1戦目がスタートしようとしている。東海チャンピオンシップの決勝は3本先取という事で、非常に長い戦いになる。何本先取なのかは、実は当日の会場の残り借り時間により変動している裏設定もあるという噂があるが、それはさておき。お互いここで向き合った感想を聞いたところ、LACKは落ち着いていたようで、3回戦でショウイチを倒したときから緊張はなくなり、冷静に決勝卓に座る事ができたと語っている。ヴァニラは決勝へ行けた喜びと、ジャンケンへの意気込みで少し興奮していたようだ。
ジャンケンの結果、先攻はLACK。まずはドロー。そして守備モンスターをセットし、1枚カードを伏せる。遊戯王では最もありふれた先攻第1ターンのアクションと言えるだろう。ターンをヴァニラへ渡す。ヴァニラのターン。静かにドローフェイズを終え、スタンバイフェイズの確認も怠らない。ヴァニラのファーストアクションは《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》を特殊召喚。そのまま《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》でLACKの守備モンスターを攻撃するヴァニラ。守備モンスターは《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》。《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》は《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》の攻撃により撃破したものの、そのリバース効果によりデッキから2枚目の《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》が特殊召喚される。ヴァニラはメインフェイズ2で《光の護封剣/Swords of Revealing Light》を発動。ターンを返す。一方、手札が悪いのか、何もせずターンを終了するLACK。ヴァニラはリバース効果により特殊召喚された《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》に攻撃をしかけるだけでターンを終了。一気に攻める事は勝ちに繋がる事も少なくは無いが、余計な動きをしない事は現在のアドバンテージをキープする最も有効なプレイと言えるだろう。手堅く、そして淡々とゲームを進めるヴァニラ。単に攻撃モンスターがいなかっただけかも知れないが、これは安定プレイだ。返しでLACKは《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》を特殊召喚し、ヴァニラの《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》と融合。《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》を特殊召喚する。今大会、ダントツで採用枚数が多いカードである《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》。いかに強力なカードであるかは、すでに証明されている。しかし、《光の護封剣/Swords of Revealing Light》の効果で攻撃が出来ないLACKは、そのままターンを終了する。ヴァニラのターンではひとまず守備モンスターをセットしターンエンド。これを《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》で破壊するLACK。しかし相変わらず攻撃は出来ない。《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》は想定済みと言った感じでさらに守備モンスターをセットするヴァニラだったが、次のターン、LACKの2枚目の《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》が刺さる。除外されたのは《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》。これは、ヴァニラにとっては大きな損失となった。《光の護封剣/Swords of Revealing Light》が消えた後、まだ場にいる《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》で攻撃を開始するLACK。《マシュマロン/Marshmallon》などで何とか持ちこたえるヴァニラだったが、LACKの《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》でのいじめが始まる。LACKは《貪欲な壺/Pot of Avarice》発動などで勢いがつく。なんとか反撃のチャンスをつかみたいヴァニラは、《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》を《神の宣告/Solemn Judgment》で打ち消し、逆に自分の《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》で反撃を試みるが、召喚時に《激流葬/Torrential Tribute》を発動され、これは失敗に終わる。LACKが《リビングデッドの呼び声/Call of the Haunted》を使用した所でヴァニラは投了を宣言する。
2戦目
ヴァニラの先攻で2戦目が始まる。淡々とプレイするヴァニラの姿は、そのプレイングの安定さを物語っているような雰囲気をかもしだしている。ひとまず、モンスターセットでターン終了のヴァニラ。帝デッキを使っている場合はよくある光景だ。このプレイは、モンスター主体の帝デッキの場合はまずまずのファーストアクションと言えるだろう。帝デッキの場合はモンスターセット無しで伏せカード1枚セットでターンエンド、などという状況の方が好ましくない。とはいえ、無理にモンスターをセットという事は考え難いので、このセットモンスターはなんらかのリバースモンスターか、そうそう破壊されないモンスターだという予想はつく。そういう事を肌で感じていた、と言うよりは単にアタッカーが居なかったのか、LACKは守備でモンスターをセットし1枚カードを伏せターンエンド。ヴァニラのターン。セットされていた《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を反転召喚。リバース効果により、2体目の《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を特殊召喚。そこから《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》に繋げる。モンスターをデッキの一番上に戻すヴァニラ。《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》でのスーパービートが始まる。返しのLACKは守備モンスターで凌ぐ作戦だったが、2枚目の《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》の召喚により、伏せカードをデッキに戻され、モンスターは《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》で除去される始末。LACKの戦況はかなり好ましくない。その後はLACKも《光の護封剣/Swords of Revealing Light》で守りつつ《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》を召喚するなど反撃を試みるが、ヴァニラの《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》と《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》が結局止まらなく、頼みのトラップは《王宮のお触れ/Royal Decree》で妨害され、わりとあっさりLACKが2戦目を落とす結果となった。
3戦目
再びLACK先攻。守備モンスターをセットし、カードを1枚伏せる。そしてターンエンド。遊戯王のカードゲームができて以来、一体何百万、何千万回同じアクションが世界で行われてきただろうか。返しのヴァニラは手札が悪いのか、伏せカードを1枚だけセットしターンエンド。再びLACKのターン。モンスターを反転召喚。反転したモンスターは《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》。カードを1枚引き、そのまま攻撃に入るLACK。バトルフェイズ終了後、守備モンスターと伏せカードを一枚追加。順調な滑り出しだ。ヴァニラのターン。《光の護封剣/Swords of Revealing Light》を発動。守備モンスターをセットし、ターンエンド。ここは守りを固めるヴァニラ。なんとか攻撃したいLACKだったが、《光の護封剣/Swords of Revealing Light》がどうにもならず、ここは《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》を守備表示に変更しターンエンド。ヴァニラのターンになり、守備モンスターを反転。お約束の《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》。《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》に攻撃を仕掛け、これを撃破。静かにアドバンテージをつめていく。返しのLACKは《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》を召喚するが、これはヴァニラの《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》によりゲームから除外される。アドバンテージ差は詰めるが、再びアドバンテージの差が開く事はそうそう許さないヴァニラ。《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を守備表示に変更し、ターンを終了する。LACKのターンになるが、ここは何も出来ずにターンエンド。ヴァニラのターン。ここで場は動く。手札から《大嵐/Heavy Storm》を発動するヴァニラ。LACKの伏せカード、《月の書/Book of Moon》と《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》が破壊され、またもアドバンテージを詰める。《クリッター/Sangan》を召喚し、LACKのモンスターに攻撃を仕掛ける。LACKの守備モンスター、《クリッター/Sangan》が破壊され、そこから《スナイプストーカー/Snipe Hunter》を持ってくるLACK。ヴァニラはカードを1枚伏せ、ターンを終了する。劣勢となったLACKは、カードを1枚伏せた後、《スナイプストーカー/Snipe Hunter》の効果を起動。しかし、ここはスナイプの神様はLACKに微笑まなかった。《クリッター/Sangan》に攻撃を仕掛ける。《クリッター/Sangan》からは《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》を引っ張るヴァニラ。それを確認し、再びスナイプストーカー/Snipe Hunter》の効果を使用するLACKだったが、2度目の効果起動も失敗。3度目の正直でようやく成功し、《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を破壊する。《地割れ/Fissure》で残りの《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》も破壊し、《貪欲な壺/Pot of Avarice》を使用するLACKだが、《スナイプストーカー/Snipe Hunter》の効果失敗がひびき、状況は苦しい。ヴァニラの《地割れ/Fissure》で《スナイプストーカー/Snipe Hunter》を破壊され、《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》で攻撃される。その後、《閃光の追放者/Banisher of the Radiance》を召喚しLACKを攻め立てるヴァニラ。《王宮のお触れ/Royal Decree》を2枚同時に伏せ、LACKのトラップを妨害する奇手で完全にデュエルの主導権を握り、《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》でLACKに止めをさした。
4戦目
先にリーチをかけた事から、ゲームの流れ的にはヴァニラに傾いている感は観戦していたプレイヤーも感じた事だろう。《王宮のお触れ/Royal Decree》がよほど堪えたらしく、本来のデッキの回し方がうまく出来なかったとLACKは後に語っている。対するヴァニラは、ここまでの《王宮のお触れ/Royal Decree》のプレイもさる事ながら、実はそれよりもサイドから入れたという《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》と《シールドクラッシュ/Shield Crush》のプレイ所にかなり気を使っていたとコメントを残している。
4戦目は3回目のLACKの先攻からスタート。守備モンスターをセットし、魔法・トラップゾーンに2枚のカード伏せ、ターンを終了する。初ターンに2枚伏せというのはこのマッチでは初だ。そして、ヴァニラのターンのスタンバイフェイズで伏せカード、《死のデッキ破壊ウイルス/Crush Card Virus》を発動するLACK。この効果で大きなアドバンテージを取るまでには至らなかったものの、相手の手札を把握することによってその後の展開は有利に進められる。手札を把握されているヴァニラはうかつには動けない。《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を守備にし、ターンを終了。LACKも相手のモンスターは知っているものの、攻撃に出られない。守備モンスターをセットしターンを終了する。ヴァニラはこれを《シールドクラッシュ/Shield Crush》で破壊。相手のモンスター展開を妨害しつつ、守備モンスターをセットし守りを固める。お互いなかなか攻勢に出ることができない。中盤、《ホルスの黒炎竜 LV6/Horus the Black Flame Dragon LV6》を召喚するヴァニラ。一気に場の制圧にかかる。《ホルスの黒炎竜 LV6/Horus the Black Flame Dragon LV6》の攻撃を《聖なるバリア−ミラーフォース−/Mirror Force》で止めようとするLACKだったが、ヴァニラの《王宮のお触れ/Royal Decree》がここでもLACKを苦しめる。《ホルスの黒炎竜 LV8/Horus the Black Flame Dragon LV8》の召喚に成功するヴァニラ。しかし、ここはLACKの《スナイプストーカー/Snipe Hunter》が《ホルスの黒炎竜 LV8/Horus the Black Flame Dragon LV8》を狙い撃ち、これを破壊。ここまであまり活躍しているとは言えなかったLACKの《スナイプストーカー/Snipe Hunter》が役に立った。さらに《王宮のお触れ/Royal Decree》の破壊にも成功するLACK。流れはLACKに傾く。ヴァニラの《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》も《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》で除去し、《魔装機関車 デコイチ/Dekoichi the Battlechanted Locomotive》で攻撃を仕掛け始める。ヴァニラは2枚目の《王宮のお触れ/Royal Decree》を発動するも、タッチの差でLACKの《鳳翼の爆風/Phoenix Wing Wind Blast》が発動し、手段が尽きたヴァニラは投了を宣言する。
5戦目
東海チャンピオンシップ最終戦。2勝2敗の二人。このデュエルの勝者が東海チャンピオンシップの覇者となる大事な大事な一戦だ。流石に二人の表情にも疲れが見えるが、ここでそんな弱音は通用しない。観戦者が見守る中、最後のインターバルが終了した。
先攻はヴァニラ。注目のファーストアクションは伏せカードを置く事だった。モンスターは出せないらしいヴァニラは、それだけでターン終了。返しのLACKのターン。ここからヴァニラの悲劇が始まる。LACKは《魂を削る死霊/Spirit Reaper》を召喚。そのまま攻撃を仕掛け、ヴァニラの手札を落とす。ヴァニラの伏せカードは《魂を削る死霊/Spirit Reaper》を止めることは出来なかった。1枚カードを伏せてターンを終了するLACK。ヴァニラは《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》を召喚するが、LACKの《奈落の落とし穴/Bottomless Trap Hole》で《魔導戦士 ブレイカー/Breaker the Magical Warrior》は破壊される。返しのターンで更に《魂を削る死霊/Spirit Reaper》で攻撃を仕掛けるLACK。すでに先攻のアドバンテージも無くなったヴァニラは厳しい展開。その返しでヴァニラは待望の守備モンスターをセットするが、LACKの切り札《鳳翼の爆風/Phoenix Wing Wind Blast》により守備モンスターは場からいなくなる。三度《魂を削る死霊/Spirit Reaper》の攻撃を素通しする結果となったヴァニラ。非常に厳しい展開となる。ヴァニラは「決勝戦の最後でこれかよ」と言った感じの表情だった。ここまで淡々とプレイしてきた屈強なデュエリストも流石にこれは堪えたらしい。一方、アドバンテージが取れたLACKは一気にたたみかけたい所だろうか。しかし、その後はヴァニラの守備モンスターが突破できなかったLACK。仕方なく守備モンスターをセットしてターンを返すが、ここはヴァニラの《シールドクラッシュ/Shield Crush》で守備モンスターを破壊される。その後は互いにアタッカーを引かず、しばらく睨み合いが続く。お互いに、その間守備モンスターをセットし守りを固める。先に仕掛けたのはヴァニラ。《氷帝メビウス/Mobius the Frost Monarch》を召喚し攻勢に出るものの、ここはLACKの《マシュマロン/Marshmallon》に阻まれる。《氷帝メビウス/Mobius the Frost Monarch》を《スナイプストーカー/Snipe Hunter》で除去するLACKだったが、その返しでヴァニラは《サイバー・ドラゴン/Cyber Dragon》を召喚。《スナイプストーカー/Snipe Hunter》に攻撃し、これを撃破。伏せカードをセットし、ターンを返す。これに対し、LACKは守備モンスターをセットするだけでターンエンド。好機とみたヴァニラは間髪入れず《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》を召喚。LACKのモンスターを除去しつつ攻撃を仕掛ける。《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》の効果によりドローが進まないLACKはまたも守備モンスターをセットし、ターンエンド。勢いに乗ったヴァニラは《抹殺の使徒/Nobleman of Crossout》をプレイ。LACKの守備モンスター《墓守の偵察者/Gravekeeper’s Spy》を除去し、《風帝ライザー/Raiza the Storm Monarch》で攻撃を続ける。一方、反撃のチャンスが来ないLACK。相変わらず守備モンスターをセットするだけのアクションを繰り返す。この状況でヴァニラの召喚した《N・グラン・モール/Neo-Spacian Grand Mole》はどうにもならない。LACKは苦笑いを浮かべつつ投了を宣言。この瞬間、今東海チャンピオンシップの覇者が決定した。
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